高松高等裁判所 昭和25年(う)1025号 判決
貨物の輸出入につき免許の制度を採つておるのは、その輸出入しようとする貨物につき一定の関税を確保するを主眼としたものであるから若し外国から一の船舶に積載して来た貨物を税関の免許を受けないで、日時、場所を異にし陸揚げ輸入するような場合にはその陸揚げ毎に関税を逋脱する結果となるので又関税法違反もその陸揚げ毎に成立するものと解すべきである。してみれば所論のように国外における輸入の企図が一つであつたとしても我が国における陸揚げ輸入が判示のように二つであるとすれば二罪が成立するのでありそれを併合罪として加重処断したことに所論の違法はない。(判示第二の事実は、秋澤との共犯とするのが正しいように思われるけれども結局判決には影響を及ぼさない)
( 註 本件は量刑不当にて破棄自判)
(弁護人の控訴趣意)
第一、原判決は一罪を二罪と誤認したか又は包括的な一罪に対し併合罪の加重をした違法がある。
二隻以上の船団で密輸しても一罪である。その行程中日時を異にして甲乙両地で密輸品の積込をしても、又その乙地の積込か最初の予定外であつても二罪とはなるまい。
本件は第一の積込後その実行中に第二の積込密輸が始まつたものであるが、そして積込んだ船は別々であつたが、口永良部から同一船(漁福丸)に積替えて高知県宇佐見港に運ぶ予定だつたのである。予定に反し別船で終始したのは時化で船が離ればなれになつたという予想外の事故のためであつた。又判示では第二の所為は被告人の単独行為の様になつているが第二の積荷の運送を引受けたのは秋沢稔八であり、被告人は秋沢の命令に従いその運送を実行した丈であるから、第二についても秋沢は明らかに共犯である。(原公第三回秋沢証言警察第六回被告人供述記載)。上村正也については多少疑問があるが必ずしも同人が共犯でないとは云えない。(上村警察第四、五回供述)。兎に角第二事実を被告人の単独行為と曲認して第一、第二は別罪を構成すると認めてはならないのである。仮に共犯の手で第一の犯行を実行しつゝ単独の第二犯行を加えたとしても、同一行程中のことであるから、一罪の内容が共犯部分の外に単独部分迄拡大した丈である。
即ち原判決が二罪を認めたものであれば事実の誤認であり、一罪を認めたものであれば法律適用の誤りであつて、いづれにしても判決に影響がある。」